歯医者での施術イメージ
インプラントの仕組み

「インプラント」というのは体内に埋め込む医療機器・材料の総称です。
心臓のペースメーカーや人工関節・バストアップのために使われるシリコン材料などもすべてインプラントというわけです。
ただし、一般の方の場合にはインプラントと言われるとまずは歯の治療が思い浮かぶのではないでしょうか。
顎の骨に埋め込んで、そこに義歯を付けるという治療法となります。

そんなインプラントの歴史は長く、紀元3世紀頃のローマ時代の人骨の上顎に鉄製インプラントが埋まっているのが発見されているのです。
中南米でも紀元7世紀頃に下顎に貝で作られたインプラントの人骨が見つかっています。
始めは鉄や貝殻から始まった素材も、年月を経るに連れて金やエメラルド・サファイア・アルミニウムとさまざまなものが使われるようになりました。
ただ金属アレルギーという病気もありますが、何でもかんでも埋め込めばよいというものではありません。
そのどれもが長期的にかみ続けることができるものではなかったのです。

そんな中、1952年にスウェーデンの学者ベル・イングヴァール・ブローネマルク教授がチタンと骨の結合を発見したことで大きく歴史が動きます。
現在のインプラント治療において主流となっているチタン製インプラントが発見されました。
元々は、微細血流を研究するためにウサギの骨にチタン製の器具を埋め込んでいたブローネマルク教授ですが、研究が終了したからと埋め込んだチタンの器具を取ろうとしても骨と結合して取り出せなくなったのです。
この現象をオッセオインテグレーションと名づけ、更に研究を進める中でチタンが身体に有害な作用をもたらしにくいという特性を持つ金属であることが分かりました。
その後も研究は繰り返され、1965年にとうとう人体への応用が開始され、1980年代には世界中に広まっていきました。
日本にも1978年に川原氏によるサファイア・インプラントによってインプラントの歴史が始まっています。

今や世界中で歯を失った方のための治療法としてインプラント治療は行われています。
世界中にインプラント製品は100種類以上存在し、今も尚新製品が開発されているのです。
より安全で、早くて美しくて、そんなインプラントを生み出そうと形状や人工の歯を接続するためのアパットメントなどどれもが進化を続けているのです。
これからは、細菌がまったく侵入できないようなより厳密な接続を目指して、開発が続けられていくでしょう。

インプラント治療の流れ

OKサインをする看護師

そんな歴史あるインプラント治療ですが、顎の骨に歯根を埋め込んでと聞くと恐ろしいでしょう。
しかし、技術力も高くなった今はより安全で正確な、それでいて無痛で人体への負担の少ない治療法で行われています。
ただし、技術力はアップしても治療が1日で終わるようなことはありません。
検査を行い、インプラントを定着させたり更にはメンテナンスも行うちに、3ヶ月から10ヶ月くらいはかかる長期的治療となることは覚悟しておきましょう。

まずは口の中の状態を確認するところから始めます。
CT スキャンなどでレントゲン撮影し、歯がどのように失われているのか・どこに何本くらい必要となるのかを正確に調べます。
一度埋入したら失敗だったからと簡単に取り出すことはできません。
この重要な工程では、CTスキャンで撮影した画像を元にして3D画像を起こし、コンピューターを用いてノーベルガイドといわれるものをつくります。
ノーベルガイドにはインプラントの埋入場所はもちろん、その角度まで記録されるため最小限の切開で治療することができるのです。
ノーベルガイドを被せて穴が開いているところにボトルを埋め込むだけなので失敗も少なくなります。

治療計画が整ったら、ようやく土台を入れる1次手術です。
麻酔を行った上で切開するため無痛です。
局所麻酔や静脈内鎮静法という方法が執られます。
1時間から3時間程度の簡単な治療です。
その後、骨とインプラントが結合するまで2ヶ月から6ヶ月程度はそのまま日常生活を送るようになります。
ただ放っておくのではなく1ヶ月に1度くらいのペースで定期的にその周辺のクリーニングをするために通院することになります。

歯磨きをする女性 きちんと定着したら2次手術です。
埋め込んでおいたインプラントの先端を出し、そこにアパットメントという人工歯を被せます。
すぐにその場で終わるわけではなく、歯型を取って人工の歯を製作しなければなりませんから、2回から3回は通うことになります。
その後も3ヶ月から6ヶ月ごとに定期健診を行います。
耐久性にすぐれているとはいえメンテナンスは続けなければならないのです。
自身の歯と違って菌に侵されても痛みを感じることはありません。
そのため人工歯を装着すればそれで完了というわけではありません。
その後もきちんと歯みがきをすること・定期的に病院で診てもらうことで1日でも長く快適に使えるようにしてやらなければならないのです。